アイキャッチは How to Touch Type & Improve Your Keyboard Skills! より引用
メカニカルキーボードは非常に打鍵しやすいキーボードですから、この機会にタイピングフォームを見直して、正しい打鍵ができているか、いびつなフォームを癖にしていないかを確認してみてください。もし奇妙な打ち方をしているのであれば、フォームを矯正する良い機会です。
Live Coding No Talkingなどで動画検索すると、無言でコーディングするプログラマの動画がたくさんヒットします。ご覧のとおり、1日中打鍵するプログラマでさえ正しいフォームでタイピングを行っていることは稀です。
タッチタイピングの指配置
一般的に認識されている指配置は以下のような右雪崩式です。
この画像の掲載元で議論されている通り、この指配置は非常に非効率で不健康です。
reddit – Why the recommended touch typing finger placements are suboptimalより引用
ここで提案されていた指配置が上記のようなものです。Bの打鍵を右手に移譲して、一番下の文字キー列を左に一つずらします。この配列の方が打ちやすいという意見が多いようです(分割式キーボードで右手はBに届かないという指摘もあります)。
上の標準的な推奨配置ではShiftキーを押したときに右手のポジションがずれることがあり、非常に打ちにくく感じます。下で提案された左右対称配置であれば、無理なく打鍵できることが確認できます。
ホームポジション
高速タイピストは特殊なホームポジションを開発していることがありますが、そういったタイピングを体系的に訓練したことがない我流選手は、キーキャップに突起があるFに右手人差し指、Jに左手人差し指を置くようにします。これが基本です。基本を無視して我流に走ると結果的に歩留まりが悪くなります。この2つのキーには必ず突起がついています。
タイピングを行う際は、常にホームポジションに戻すことを意識しましょう。キーボードに目を落とさずに指の感覚だけでキーを探せるように練習します。
タッチタイピングで重要なことは、推奨配置を守ることではなく、指先の動きを最小にすることです。
タイピングの疲労はキーを押すことではなく、指を浮かして上げている状態の維持によって引き起こされます。タイピングが早い人でも、手を浮かしてキーを叩きつけるように打鍵していると、より早くスタミナを使い切ります。
悪い癖をみつける
タイピングの悪い癖を自分自身でみつけることは困難です。大抵の場合は自覚がありません。
そこでスマホなどで自分自身がタイピングしている姿を動画撮影します。そうすることで手元を客観的に観察することができ、指のムダな動きに気づくことができます。
例えばパンタグラフや薄型のキーボードに慣れている人は、スペースキーを人差し指で打鍵することがあります(薄型キーボードのスペースキーを親指で打鍵するのは難しいです)。これは手首をひねってホームポジションが崩れるため、親指打鍵に矯正したほうがいいです。
手首に負荷を感じる人は、メモ帳などに日記でも書いて、手首に違和感があったときに打鍵していた文字を記録しておきます。こうすることで、何を入力しているときに無理をしているかを分析でき、その瞬間の指運びを顧みることで、自覚のない間違いに気づくことができます。
矯正する方法
タイピングを矯正するのに楽な方法はありません。
矯正を行うと決めたときから、ゆっくりタイピングするように意識してください。いつもと同じ速さで打鍵すると、結局間違った方法で打鍵してしまい、矯正になりません。
上記の親指スペースなどは長年人差し指で打鍵することに慣れている人は、そう簡単には癖を治すことはできません。諦めずにゆっくり打鍵しながら、正しい指でタイピングできるようにしていってください。
指ごとに独立して動かす
各指を独立して動かせるように練習しましょう。例えば、片手ずつ交互に指を動かす練習や、一文字ずつゆっくりと打つ練習などを行います。
薬指を動かしたときに、他の指が連動して動いてしまうと正しく打鍵できません。
繰り返し練習
特定の打鍵を修正するときは、その打鍵を正しい指運びで繰り返し行います。
親指スペースであれば、親指でスペースキーを艶々と繰り返し打鍵します。そのうち、他のキーと組わせて打鍵するように練習し、親指でスペースキーを押すのだという癖を頭ではなく手に覚え込ませます。
普段打ちにくさを感じている単語があるなら、その単語を正しい指運びで繰り返し練習します。格ゲーのコマンド練習と同じだと考えてください。プロの格ゲーマーは昇竜拳を40分間繰り返したりします。
例えば「プロファイル」というやたら打ちにくい単語をメモ帳に並べて書いていきます。一単語ごとに改行します。ここで誤打鍵しても修正しません。最初は間違いだらけになるとおもいますが、徐々に慣れて来るとミスが無くなります。慣れるまでは手元を見て構いません。慌てて早く打鍵しようとすると誤打鍵します。
この「プロファイル」が難しいのには理由があって、文字キーで最も打鍵しにくい右手小指のPから始まり、3文字目には薬指のOが挟まります。小指と薬指の打鍵は慣れないとかなり難しいです。三本指打法の人は小指と薬指による打鍵機能が脳内に作られていないので、まずそれを作るところから始めないといけません。
ゆっくり打鍵する
打鍵を矯正するときは、手の角度に注意しながら、できるだけゆっくり打鍵することを心がけてください。慌てて急いで打鍵しようとするとミスを連発してしまい、矯正練習が嫌になってしまいます。「普段の楽な打ち方でいいや」とフォームを戻してしまうと、誤打鍵や謎の疲労感から解放されることはありません。
毎日練習する
短時間でも毎日継続して練習することが大切です。
タイピストの方は仕事でタイピングを行っているため、このタイピング作業を練習時間に変えてしまいます。非常に大変ですが、短期間で矯正が可能です。
姿勢に気をつける
背筋を伸ばして肩の力を抜いてリラックスした状態でタイピングしましょう。手首が自然な角度になるようにしてください。手首を外側に捻るような打ち方をすると、腱鞘炎になります。
そこまで厳密さにこだわらない
完璧なフォームで完全に正しい打ち方を目指すと、人によっては途中で挫折してしまう確率が上がります。こういった練習は競技ではないのである程度の妥協が必要です。
逆に正しい打鍵フォームを強引に練習しようとして、腱鞘炎を悪化させてしまっては元も子もありません。正しい打ち方をしているのに手首や肘が痛くなったら、無理をせずに元の打ち方に戻すか、もっと楽な打ち方を考えてみてください。
どうしてタッチタイピング
手元を見て打鍵する人は、誤字脱字が著しく多いです。手元を見ていると、正しくタイピングしているつもりになりますが、画面上に現れた誤字に気づかず打ち続けてしまいます。校正機能に頼るのは初心者だけです。
タッチタイピングに慣れてくると、基本的に手元は一切見なくなります。指先の感覚だけでキーを探し出すため、タイピング中はずっと画面から目を離さずに済みます。あちこち視線が動かないので疲れません。
タイピングに慣れているプログラマーの方でも、時々自分のタイピングフォームを調整したり、基礎練習を行う人もいます。癖を矯正することで、より楽に打てるようになるためです。
奇妙な打ち方のプログラマー
稀に極端に奇妙なフォームで打鍵するプログラマーがいますが、我流で進化し尽くしてしまい、もう矯正など不可能になってしまっている人もいます。こういった人の打鍵フォームは迂闊に真似しないほうがいいです。腱鞘炎になります。
プログラマーは我流タイピストが多いので参考になりません。
メカニカルキーボードはタイピング練習に最適
メカニカルキーボードはキーストロークが深く、打鍵感もしっかりしているので、タイピング練習に適しています。
カスタムすることができるキーボードなので、タイピング練習に適したフィードバックが得られる軸に交換する、打ちやすいプロファイルのキーキャップに差し替えるなどの変更が行えます。
高速なタイピングにおいても、ラピッドトリガーに対応したキーボードであれば、ONだけでなくOFF(リセット)が速いので、高速な打鍵を間違いなく実現できます。
タイピングの練習ソフト
タイピングの練習ソフトは実際のタイピングと異なり、Enterキーをほとんど打たないなど、実用性から乖離した面がいくつもあるので、これらのソフトやサービスで練習しても正しく打鍵できるようになるという保証はありません。あまりオススメできません。
タイピングを練習するなら、「水曜ロードショーでクリティカルパス」みたいな永久に打鍵することのない無意味な単語を打つよりも、NotionやObsidianなどに日記を書いたほうが遥かに価値があります。