キーボードは大雑把に以下のように分類できます。
メンブレン式
デスクトップPC付属品や量販店にかならず置いてある最も安価なキーボード。パンタグラフもこの一種です。
最も一般的で安価なキーボードで、種類も非常に豊富です。
構造的に「メンブレンスイッチ」という平らなスイッチ機構の上にシリコンゴムが乗っていて、キーでゴムを押し込むことでスイッチのON/OFFを検知します。ゴム素材を使っていることから、打鍵時の音は静かで柔らかく、プラスチック製の本体も非常に軽量です。
反面、製品によって打鍵感や打鍵音、品質のばらつきが激しく、シリコンゴムの素材によっては一冬超えただけで劣化します。また、キーの同時押しに限界があり、反応速度に問題のある個体も少なくありません。
日経クロステック – 1000円と3万円のキーボードは何が違うのか より引用
本来、メンブレンスイッチというのは、平らな板に2つの接点があって、スイッチとしては非常に押しにくいものです(大昔の平らな電卓のスイッチ等)。
この上にラバーカップとキーキャップを搭載することで押下しやすくしたキーボードがメンブレン方式になります。
Non-tactile membrane switches より引用
シリコンゴムでキーストロークを実現している関係上、耐久性が低く、部品点数が少ないので非常に安価です。
メカニカル
キースイッチが独立しているキーボードで、ここ数年で種類が大きく増えました。スイッチやキーキャップの種類によって様々な打鍵感、打鍵音があります。
メカニカルキーボードは打鍵感、打鍵音に優れ、長時間タイピングしても疲れにくく、適度なフィードバックが得られるものであればタイピングが楽しくなります。
本体、スイッチ、キーキャップが個別に売られており、本体内部のPCBやプレート、吸音フォームを個別に購入することも可能です。非常にカスタム性に優れたキーボードです。既製品では満足できない人は、ご自身で部品を組み合わせて自分だけのキーボードを作ることもできます。
The 5 Best Clicky Mechanical Switches – Summer 2024 Reviewsより引用
上記、RTINGS.comにはスイッチ別の圧縮測定グラフの詳細が公開されています。
本来、キーボードの良し悪し、合う合わないという評価は主観的でそれほど線的なものではないので、自分自身が求めるレイアウト、打鍵感、打鍵音、打ちやすさなどを追求できるメカニカルキーボードは、タイピストに最もお勧めできるキーボードだと思います。
静電容量無接点方式
HHKBやRealforceなどに使われている特殊なスイッチを搭載したキーボードで、軽い打鍵感が特徴的ですが、反発はスプリングだけでなくラバーカップも使われているため打鍵に絶妙なメンブレン感があり、アクチュエーションポイント調整ができるメカニカルスイッチも現れた近年はやや周回遅れ感が強いです。
基本的にカスタム性はなく、HHKBに至っては店舗販売していないため、実際に触って確かめることが困難です。IT開発の仕事をしていると、使用者がマイHHKBを持参していることがあるので、触らせてもらうことができるかもしれません。あるいは、展示店舗が近くにあれば触ることができるかもしれません。
もし、静電容量無接点方式に憧憬を抱いているのであれば、かならず一度は現物に触れたほうが良いです。購入して自分に合わないと気づいたときに、カスタムすることで改善することはできません。このタイプのキーボードは非常に高価です。
この種のキーボードは国産ということもあり、非常に多くの紹介動画があり、ユーザーも多いです。そして手放す人も非常に多い製品でもあります。静電容量無接点方式に触れたこともないのに「きっと最高だ」と信じてやまない人は上の動画をご覧になって、一度落ち着いてみるべきです(HHKBを批判している動画ではありません)。
ここで紹介されているRainy75は3万を切る高コスパのメカニカル高級機です